ヨーグルト、乳酸菌、発酵食品、食物繊維、腸内フローラ検査。
「腸活」という言葉は、すっかり私たちの生活に定着しました。
KOHKI HealthCare Serviceでも、腸内環境は未病ケアを考えるうえで大切なテーマの一つです。
しかし、人気のある健康テーマほど、「分かりやすいけれど科学的には単純化しすぎている説明」も増えてきます。
今回は、現在の研究から腸活を考えてみます。
「善玉菌を増やせばいい」だけではありません
以前は、
善玉菌
悪玉菌
日和見菌
という3つに分類し、「2:1:7が理想」と説明されることがよくありました。
腸内環境をイメージする入門的な説明としては分かりやすいのですが、現在の腸内細菌研究はもっと複雑です。
2026年に公表された国際的な専門家コンセンサスでは、腸の健康は単に特定の菌の割合だけで判断するものではなく、正常な消化管機能が保たれ、生活の質に影響するような消化器症状や活動性疾患がない状態として整理されています。
そして「一つの検査だけで腸の健康を決めることはできない」とされています。
まず大切にしたいのは「食物繊維」
腸活というと乳酸菌を「足す」ことに意識が向きがちですが、その前に確認したいのが日々の食物繊維です。
厚生労働省の最新情報では、日本人成人の食物繊維平均摂取量は1日18.1gであり、理想的な摂取量として考えられている1日25g以上より少ない状況です。
日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人男性20g以上、女性18g以上などの目標量が設定されています。
食物繊維は、
野菜
豆類
きのこ
海藻
果物
玄米
大麦
全粒穀物
などから摂ることができます。
一部の食物繊維は腸内細菌によって利用され、短鎖脂肪酸などの代謝物の産生にも関わります。
だからKOHKIでは、
「まず菌を摂る」
より、
「まず普段の食事を確認する」
ことから始めたいと考えています。
プロ・プレ・ポストバイオティクス
現在の腸活は、次の3つに整理すると理解しやすくなります。
プロバイオティクス:
健康上の利益が確認された生きた微生物。
プレバイオティクス:
腸内微生物に利用され、健康上の利益をもたらすことが確認された成分。
ポストバイオティクス:
不活化した微生物やその構成成分などを利用する考え方。
「生きた乳酸菌だけが良い」という単純な考え方から、腸活研究も進化しています。
KOHKIでは、
プロバイオティクス
+
プレバイオティクス
+
ポストバイオティクス
+
食事・運動・睡眠
という考え方を基本にしています。
腸内フローラ検査も万能ではありません
自宅で便を採取する腸内フローラ検査も広がっています。
自分の腸内細菌を知ること自体は、食生活を振り返る興味深いきっかけになります。
しかし、2025年に発表された国際コンセンサスでは、市販の腸内マイクロバイオーム検査について、臨床上の有用性を裏付けるエビデンスはまだ限定的で、検査方法や解釈にも課題が残っていることが指摘されています。
したがって、
「この菌があるから病気になる」
「この検査で大腸がんリスクが分かる」
といった単純な解釈には注意が必要です。
腸活を「毎日の生活」に戻そう
KOHKIが考える腸活は、決して難しいものではありません。
まず、
食物繊維を増やす。
発酵食品を取り入れる。
体を動かす。
睡眠を確保する。
便の状態を見る。
そこから始めれば十分です。
健康食品や検査は、その生活を支える選択肢です。
「腸活=商品」ではなく、
「腸活=毎日の生活」。
これが、KOHKIがエビデンスから考える腸活です。
次回 #03では、
「健康食品を売る前に、生活習慣を整える」を考えます。
【主な参考資料】
・Marco ML, et al. ISAPP consensus statement on the definition and scope of gut health. Nature Reviews Gastroenterology & Hepatology. 2026.
・Porcari S, et al. International consensus statement on microbiome testing in clinical practice. Lancet Gastroenterology & Hepatology. 2025.
・厚生労働省 e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」
※腸内フローラ検査は疾病を確定診断する検査ではありません。